2023.05.16

株式会社nico

代表取締役 河本敬嗣

株式会社nico

Q

現在の仕事に就いた経緯を教えてください。

もともと起業願望はあったものの、建築関係の大学を卒業後は一旦ゼネコンに就職し、建設プロジェクト内における施工管理を担当していました。当時はさまざまな協力会社さんや職人さん達が良い仕事をしてくださったにも関わらず見合った対価が払えないことも多々あり、ずいぶん歯がゆい思いをしました。

さらに、建設プロジェクトはコンサルタントや設計事務所が全体の骨組みを設計することが主流であるため、いわば川下で工事の施工管理業務だけをいくらやっていても理想の世界には辿り着けないと感じ、新たな行動を決意。

むしろ実際の現場を熟知している私達がプロジェクトの全体像を組み立てたり、マネジメントに携わったりする方が業界にも貢献できるのではないかという思いから起業に踏み切りました。

Q

仕事へのこだわり、
新人時代からどういう仕事観を築いてきたのか

機械やAIの台頭により、近年は「人間にしかできない仕事」を追及すべき時代に入っていると思います。具体的には、1つの技術に特化したスペシャリストになるか、広範囲の領域に精通したジェネラリストになるか、そんな両極端の2択になるのではないでしょうか。

したがって弊社では、それぞれのスタッフがその様な人材になっていく事を目指し、人間らしい仕事の追求に主眼を置きながら、新しいことへのチャレンジを恐れないこと、そして常に自分を磨き、成長をし続けていくことを常に意識しています。

もちろんその途上には、重なる苦労や苦渋の決断に悩まされることも多くあるかと思いますが、そのような壁を含めて楽しんでいくマインドを自身の中にセットしておくことがポイントだと考えています。

Q

「幸福」や「幸せ」について、社長ご自身のお考えや、
感じることはありますでしょうか?

世の中を見ていると、幸福感を得やすい人・得づらい人の2種類が存在しているように思います。その違いは何かというと、幸福感を得やすい人は自分の好きなことや楽しいものをきちんと把握していて、なりたい姿や目標の解像度が高く、なおかつその実現に向かって前向きに行動を起こせる人だと私は考えます。

そういう人はたとえまだ目標に至ってなかったとしても成長過程を楽しめますし、モチベーションを保って目標達成まで突き進められるのでしょう。裏を返せば、そのような心持ちでいられることを意識することがまず幸福な人に近づくコツかもしれません。

また会社としては、カルチャーやビジョン、モラルなどを社内の仲間達のみならず協力会社さんやクライアントなどを含めたステークホルダーとも分かち合い、共に歩んでいくことが幸福経営の第一歩ではないかと考えています。

Q

今後の目標について教えてください。

社会にこれまでなかった仕組みを新しい常識として浸透させていきたいと考えています。具体的には次の2つです。

1つ目は、プロジェクトマネジメント(PM)とコンストラクションマネジメント(CM)です。

PMはプロジェクト達成のための計画を細かく立て、あらゆる要素を管理すること。CMは高い専門性を有する建築技術者が発注者に寄り添いながら建設プロジェクトをサポートすることを指し、いずれも海外で用いられている手法です。

日本の建築業界にはこのような役割を分離発注するという考え方が殆どありませんでしたが、現場をよく知る人間がPM、CMを引き受けることでよりよい仕事ができると考えています。

2つ目は、ホームインスペクションという概念や事業を普及させていくことです。

これは住宅に精通したホームインスペクターが、中古住宅取引において中立的な立場で建物の状態を診断し、アドバイスを行うことを指します。日本では宅建業者よりインスペクション結果の概要を買主に説明することが2018年に義務化されたばかりで、ホームインスペクションはまだまだ一般化するレベルまでは至っていません。

しかしこの概念や事業が普及することで中古住宅売買や建築物取引におけるリスクは低減し、社会や業界にとっても非常に良い影響があるだろうと期待しています。