2022.07.01

株式会社泉メディカルサービス研究所

代表取締役社長 武田俊則

株式会社泉メディカルサービス研究所

Q

現在の仕事に就いた経緯を教えてください。

中学生の頃より建築設計や教育、医療福祉の分野に関心を持っていました。教育については、高校時代の恩師の勧めもあり、教員免許を取ったものの、採用試験に落ちたことで終わりを迎えました。結果として、医療福祉関連が、今の私のライフワークとなっています。

大学卒業後は中堅ゼネコンの名古屋支店に勤務した後、医療福祉の道へ進むべく、浜松の社会福祉法人に採用され、その基幹病院で約10年勤務しました。そもそもは医療福祉関連のアーキテクチャを通じて人様のお役に立ちたいと考えていたので、結果的に、日本で初めてと言われたホスピスの設立に裏方として参画できた事、また、最先端の医療機械を導入し、院長を中心に職員が一丸となって、患者様の治療に立ち向かう姿勢が法人の理念である『隣人愛』を学ぶきっかけとなり、今日の地域密着型の高齢者事業に取り組む原点となっています。

その後、念願だった同法人の企画部に異動となり、神奈川県、東京都、千葉県において、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、ケア付き高齢者住宅等の公設民営型を含む新規事業を手掛け、実現に至りました。今日迄、その運営が脈々と続けられ、首都圏の高齢者の皆様の一助となっており、大変嬉しく感じています。また、バブル崩壊直後、法人内で営業部門が開設され、初代入居者募集センター長に就任しました。その後、有料老人ホーム「浜名湖エデンの園」の園長を経て、法人本部経営企画部長に就いた後、早期退職して、それまでの医療福祉分野における実務経験をもとに平成20年8月に、株式会社泉メディカルサービス研究所を設立しました。代表取締役社長に就任して、今日に至っています。

Q

仕事へのこだわり、
新人時代からどういう仕事観を築いてきたのか

高校時代の恩師に教えられた「スモールビギニング」という言葉を、自身の座右の銘として大切にしています。前述の通り、私は学生の頃から漠然としてですが、自分の職業の方向性を決めていたと同時に、尊敬する方々を常に3~5人持つということに心掛けてきたんです。

自身の生きる道を決め、ときに遠回りを経て今に至ったわけですが、それもスモールビギニング、つまり小さなことをコツコツと積み重ねてきたおかげで夢が叶ったと考えています。なかには20年から40年以上と長きに渡る各方面の人生の大先輩方と仕事だけでなく、趣味や家族ぐるみのお付き合いから、たくさんの刺激、学びを得たからこそ「建築、教育、医療福祉」を包含する今日の事業が実現できたと考えています。

Q

「幸福」や「幸せ」について、社長ご自身のお考えや、
感じることはありますでしょうか?

私にとって最高の幸せは、自身の専門分野の仕事を通じて人様のお役に立ち、それによって人様から必要とされるという関係性を築くことです。弊社の設立に際しては、ご高齢者の自宅での安全、安心な暮らしを支える為に、徹底的にこだわり抜いた地域密着型高齢者事業を行いたいというオーナーとしての想いがありました。

そこで高齢者住宅の建設にあたって「50歳の素敵なご婦人が暮らしたくなるような地中海沿岸の快適な別荘」をコンセプトとして設計者に提案し、建築を行いました。専門家の意見を聞きながら建物のデザイン、内装、インテリア等、材料の1つ1つに至るまでこだわり抜き、結果として、屋根瓦はヨーロッパ風の赤、壁はクリーム色で仕上げ、同じ敷地内には音楽を聴いたり絵を描き、工芸等にも取り組む山小屋(介護施設)も付いた、素敵な別荘風の邸宅が実現しました。

一般的に暗いイメージのある「介護」の概念を払拭し、ご本人はもちろん、ご家族にも喜んで頂ける“終の棲家”を作ること、そのために徹底して自身でこだわり抜くこと。これを事業として社員と共に実現し、楽しく運営できている今が、私の人生で一番幸せかもしれません。

Q

今後の目標について教えてください。

弊社は平成22年3月、静岡県知事より「地域密着型サービス及びサービス付き高齢者向け住宅の普及に向けた提案型コンサルティング手法の確立」というテーマで“経営革新計画”の承認(5か年計画)を得て、社長自らが事業主となって、第一段階のモデル事業に着手し、平成22年10月に浜松市東区に高齢者複合施設が完成しました。平成26年7月に計画を達成した翌年、「静岡県経営革新優秀賞」を授賞しました。経営者としても第二段階の実現に向けて大きな励みに繋がっています。この複合施設の開設時からご高齢者との3つの約束を掲げました。

1つ目は、一人ひとりに合った生活支援サービスの提供に努めます。
2つ目は、人生と人格を尊重いたします。
3つ目は、健康と癒しをテーマにお客様へ生きがい活動を提供いたします。

この“3つの約束”を日々朝礼で社員皆で唱和し、業務を行ってきました。健康で明るい社員が全ての財産であり、結果として、健全な企業経営が実現するとの思いで日々努力しています。今後の目標として、このモデル事業の運営及び経営の検証を行い、ブラッシュアップを進め、医療・福祉関係者及び民間企業の方々とも連携し、共に理想的な“地域密着型高齢者事業”の普及に貢献したいと思います。

又、一方でこれを実現する為には、マンパワーでのサポートが重要です。企業の健全経営は“組織と社員の健康”が重要なポイントをとらえ、一昨年から健康経営について学び、令和3年8月、弊社第14期スタートに当たり。社員全員で、身近なところから健康経営へ取り組み、令和4年3月に「健康宣言優良法人(中小規模法人部門)」の認定を受けました。


Q

最後に、若者へのメッセージをお願いいたします。

若者には多くの可能性があり、努力すればなんでも実現できると思いがちですが、最初から理想的なスタートを切れる方はごく僅かです。だからこそ、自身の夢の実現にこだわるという姿勢が重要になります。こだわるということは、自分のやりたいことを考え抜き、小さな一歩を踏み出すということです。

私自身もここまで平坦な道のりで来たわけではなく、遠回りをしながらも、“スモールビギニング”で歩んできました。ですから「壁にぶつかった時、もうできない」と諦めることだけはしないで頂きたいですね。
また、視野を広げるために、外部の人と交流をすることも重要です。私は、浜松の若手経営者の異業種交流会、“シナジービジネス研究会”での30年に渡る勉強会が、とても役に立ちました。自身では思い着かないようなアイデアや多くの刺激を得られて、自分をより発展させられます。自身のこだわりを大切にしながら、人との交流を通じて進化を遂げていくこと、それにより、大きく羽ばたけると私は信じています。