2023.05.09

株式会社クォンタムオペレーション

代表取締役 加藤和磨

株式会社クォンタムオペレーション

Q

現在の仕事に就いた経緯を教えてください。

私は2007年に財政破綻した北海道の夕張市出身で、2016年にUターンで起業しました。財政破綻後の夕張は、171床を有する市民病院がたった19床のクリニックに建て替えられるといった医療問題を抱えており、緊急時に救急車を呼んでも間に合わないという事態が発生していました。

私自身、複数の知人がそのような経緯で命を落としてしまったことを受け、体調の異変を自らで察知できるようなセンサーを開発できれば、危機的状況になる前に病院へ足を運ぶことができるのではないか、そしてそれは予防医療の普及にも繋がるのではないかという思いから創業に至りました。

Q

仕事へのこだわり、
新人時代からどういう仕事観を築いてきたのか

医療分野に携わる者として、闘病中であってもQOLを高めて頂きたいという思いが1つこだわりとしてあげられます。たとえば無呼吸症候群を予防する際、血中酸素飽和度を測る必要があるのですが、従来の計測スタイルは鼻に管をつけてさらに指にセンサーを巻き付けるというものでした。

その点、弊社がリリースした商品は指輪状のセンサーを装着できるだけで簡単に計測ができます。また、侵襲血糖センサーも現在開発中で、今まで針で指に穴を開けなければ血糖値を測ることができなかったところの負荷を取り除けたらという思いで取り組んでいます。

日々のバイタル計測が患者様にとって重要なものであるからこそ、その行為がいかに楽にできるかという点は今も先も追及し続けたいものです。

Q

「幸福」や「幸せ」について、社長ご自身のお考えや、
感じることはありますでしょうか?

幸福の定義は人それぞれですが、1つだけ確かなのは「幸福=お金」ではないということです。日本はかつて「お金を持てば幸せになれる」という価値観のもとで高度成長を果たしましたが、ある程度裕福になった今、幸せにはお金以外に必要なことがあるということにだんだん気づき始めたように思います。

個人的には、幸福の重要なキーは人に感謝されることであると考えます。そして事業を行うということは、その感謝の輪を広げていくことです。事業が小さなうちは商品を提供できても数百個程度で、その喜びも身内としか共有できませんが、会社・事業規模が大きくなっていけば当然関わる人の数も増えますから、その数だけ幸せを提供できて、なおかつ感謝を頂けるということになります。

いわばその貢献と感謝のエコシステムを仕事や人間関係を通して常に築き続けことが幸福なのではないかという気がします。

Q

今後の目標について教えてください。

これまではバイタル計測のためのセンサー開発・販売に特化してきた弊社ですが、今後は医療全体におけるエコシステムのモデルを作っていくことが中期的な事業目標です。具体的にはバイタルの数値をもとに適宜ドクターの診療や薬の処方を受けられるようなサービスを他社と提携して検討しています。

従来よりリーズナブルに、そして気軽に医療を受けられるような状況を作り上げることが、予防医療の普及ひいては健康寿命の延伸にも繋がると考えているからです。そしてこのエコシステムを世界的に広げていくための仕組み作りを行っていくことが長期的な目標となります。

Q

最後に、若者へのメッセージをお願いいたします。

私が就職時から意識しておけばよかったと思っているのは、社会に対して自分はどのような貢献ができるかという視点を持って会社選びをすることです。就職活動の際はどうしても企業規模や収入、残業の有無などに目がいってしまうものですが、社会人になってみるとそれらはあまり重要ではなく、むしろ働きがいやお客様との人間関係などの方が比重が大きくなります。

それを抽象化すると、つまり「自分がどのように事業や社会の役に立てるか」ということになるのです。最もいけないのは、目先の大企業に就職してモチベーションも上がらず、成長もできず、しまったと思う頃には年齢的に転職も厳しくなってしまうようなケースです。

したがって、いわゆるホワイト企業やブラック企業といった固定観念に縛られるのではなく、より上位概念の観点で就職先を選んで頂きたいと思います。