2023.05.09

株式会社アスモ

代表取締役 花堂浩一

株式会社アスモ

Q

現在の仕事に就いた経緯を教えてください。

もともとはデザイン・印刷関連業の仕事に従事しており、営業責任者のポストを経て34歳で独立に至りました。しかし当時の印刷業界はMacの登場を機に技術革新の大きな波が押し寄せていた時代で、多くの作業工程が必要なくなってしまったことから私自身、業界の行く先を危惧する日々を過ごしていました。

そこで2000年から介護保険制度が始まるとの旨を耳に入れ、思い切って介護の仕事に軸足を移してみようと考えたことがこの事業を始めたきっかけです。

Q

仕事へのこだわり、
新人時代からどういう仕事観を築いてきたのか

私が常日頃から思っているのは、社長は社員がいるからこそ社長ができるということです。たとえば代表者が立派な経歴をお持ちで、仕事がバリバリできるようなタイプの方はトップダウン方式の経営が向いているのかもしれませんが、私自身のことを考えれば、むしろ実務やあらゆる知識のことに関しては社員の方が優れていると思っています。

ただ在籍中の社員達は、経営者の魂でもある経営理念に共感をして働いてくれているわけで、そのような意味では私の思いを実現するために手を貸してくれているといっても過言ではないでしょう。

つまり最低限その理念に則っているのであるならば私が余計なことをする必要はなく、むしろ社員にできるだけ自由を与え、大切にするということが最も大切なのではないかと思います。

Q

「幸福」や「幸せ」について、社長ご自身のお考えや、
感じることはありますでしょうか?

私はそもそも「幸せ」とは、なるものではなくて感じるものだと考えています。同じ物事であってもポジティブとネガティブ、違った捉え方をする人がいるように、幸せと思えるかどうかもまた、自分自身の内面によるのではないでしょうか。

よって、自分自身の内面を磨くということは幸福にはまず欠かせないことです。そうなると、仕事人が仕事を通じて幸せになるのに必要なことは会社規模や利益のみではなく、「自分達がどのようにすれば社会の人に喜んでもらえるのだろうか」という風にミッションを追及することではないかと思います。

さもなければ会社の目的はただの利潤追求のみになり、肝心の他者の喜びは置き去りになってしまうでしょう。したがって、私にとっての幸福経営とは「私達が仕事をすることで高齢者が元気になれるんだ」という旗を立て、社員達の存在や日々の仕事の意義をしっかりと示してあげることだと捉えています。

Q

今後の目標について教えてください。

介護を取り巻く環境を改めて見てみると、介護を担う家族が疲弊することはもちろん、国の財政は圧迫され、当事者である高齢者も望んで要介護状態になる人は1人もいません。さらに私達のように介護保険制度を利用して事業を行う事業者においても、どれだけ社員が一生懸命汗をかいてくれても、その労に十分報いることはできません。

したがって、弊社は約10年前から「要介護者がなるべく自立して生きられるように」というビジョンのもとで新事業に着手し始め、現在はメイン事業として有料老人ホームの入居紹介を行う他、富裕高齢者層向けの杖をイタリアの某トップブランドと共同開発予定です。

弊社のような中小企業がなぜそのような著名な企業と手を組めるのか。それは、圧倒的な超高齢化社会の真っ只中で日本がどのように高齢化社会を乗り切るのかを世界中が注目し、日本の介護ビジネスに皆が興味を示してくれているからです。したがって、介護事業はどうしても3Kや儲からないというイメージが強いのですが、決してそうではないということは声を大にして言いたいところです。

事業とはつまり社会課題の解決であり、ならば課題が大きくて闇が深いものにこそビジネスチャンスは多く眠っていると捉えられます。そして介護事業を現場で実際に経験している私達だからこそ、そのチャンスはより見つけやすいはずなのです。

介護事業がいかに可能性に満ちたビジネスであるか、誇り高い仕事であるか、その点については社員達にも周知徹底し、今後とも会社や自分達の仕事にしっかりと意義を見出してもらいながら社員一丸となって邁進していきたいものです。