2023.03.08

株式会社まつもとコーポレーション

代表取締役社長 北川克弘

株式会社まつもとコーポレーション

Q

現在の仕事に就いた経緯を教えてください。

前職では中堅ゼネコンに勤務しており、役員・社長などを歴任してきました。一方で当時後継者問題を抱えていたまつもとコーポレーションは、税理士法人に経営権を譲渡しており、私は同法人から要請を受けて経営再建のため、社長に就任することになりました。

弊社は最盛期には250億円の売上を誇っていましたが、民事再生後には売上30億前後で停滞しており、私が入社した際の社内は非常に暗い雰囲気を感じました。したがって、代表に就任して以降は、いかに社員にヤル気を出させ社内の活気を取戻すことを一番に考え、中期経営計画の策定、セグメントごとに本部制を敷き、予実管理を徹底とある程度の権限は部門に委譲し、社員が自発的に仕事に取り組めるよう改善を実施しました。

Q

仕事へのこだわり、
新人時代からどういう仕事観を築いてきたのか

デジタル化がいくら進んだとしても、人と人のアナログなコミュニケーションが最も大事であることに変わりはありません。人とコミュニケーションをとる際のポイントは、なによりも嫌われないことです。一旦嫌われてしまうと関係が途切れてしまいますし、相手が批判に回ってしまうからです。とは言ってもどうしても嫌われてしまうのがこの世の常ですが、そこをあえて努力することが重要なのではないかと思います。

また、経営者としては先見性を持つことも肝要です。経営者はいわば船の船頭のようなもので、天候や風・潮の流れ、鳥の動きなどを読まなければ、嵐に巻き込まれてしまう可能性もあります。よって、時代がどのように変化していくのかを常に敏感に捉える姿勢は大切にしています。

Q

「幸福」や「幸せ」について、社長ご自身のお考えや、
感じることはありますでしょうか?

幸福の究極形は、全社員に「この時代に、日本人として生まれてよかった」と生きがいを感じてもらえることです。その生きがいに必要な2つの条件は「うちの会社に勤めてよかった」と働きがいを感じてもらえること、そして家庭環境がうまくいっていることだと思っています。仕事がいくら順調であっても、家庭内が不穏では決して生きがいは感じられないものだからです。

では生きがいと幸福をどのように成立させるかといえば、そこは努力と忍耐です。根性論のような話で恐縮ですが、やはり努力して耐えない限りは成長も成果もありません。これはどの時代にも通じる真実だと思います。

Q

今後の目標について教えてください。

会社は無限の命をもった地球上の生き物だと考えています。私達は会社の「細胞」で、ある年齢に達すれば新陳代謝され会社を後にしていきますが、一方で会社は私達がこの世からいなくなろうとも生命体として存続を目指します。その点を見据えれば、私が経営者としてなすべきことは、末長く存続可能な企業文化の醸成に心血を注ぐことでしょう。

具体的には、ミレニアム世代・Z世代と呼ばれるような、今後の日本社会を牽引していく世代が働きやすいシステム、および女性も活躍しやすい土壌(労働環境)を整えることがまずは先決かと思います。さらに、SDGsの目標達成に根差すような、環境を侵さないビジネスモデルを追及することも、持続可能性を実現するにあたって重要なことです。

したがって、環境になるべく負荷のかからない形で、経営に必要な最小限の利益を確保でき、若い世代が活き活きと目標を持って働けるような会社を築いていくことが究極の目標です。

Q

最後に、若者へのメッセージをお願いいたします。

皆さんは小学校の頃、教室に「元気で明るく素直な子」といった標語が掲げられていた記憶はないでしょうか。その要領でいくと社会人として必要なものは「挨拶・笑顔・清掃・清潔」、これに尽きると思います。

まず「挨拶」・「笑顔」は、人に嫌われない上で大切なポイントで、この二つさえ守っていれば円滑な人間関係の基礎の構築ができます。そして「清掃」・「清潔」は、整理整頓のなされた場にいると気分が前向きになるといったこともありますが、私は皆で使う場を自らが綺麗にしようとする姿勢こそが重要な気がしてなりません。

一人ひとりがそのような心持ちでいれば、組織の士気もおのずと高まるのではないでしょうか。よって、難しいことをいろいろと考えるよりは、「挨拶・笑顔・清掃・清潔」を徹底して社会人生活に臨むことが、「働き甲斐」、「生き甲斐」への道しるべになると思います。