2023.03.23

信濃工業株式会社

代表取締役 江尻春樹

信濃工業株式会社

Q

現在の仕事に就いた経緯を教えてください。

信濃工業は実家の家業でしたが、私は機械系の大学を出てからは自らの手で商売をしてみたいとパソコンスクールの講師として約2年間従事していました。その後、先代である父よりレーザー加工機を操作できる人間がいないことを理由に手伝いを頼まれたことが、弊社に参加したきっかけです。

当時も後継についてはあまり考えていなかったものの、ただアルバイトとして弊社で働いた経験があったこと、機械やものづくりが好きだったことから弊社での勤務には特に抵抗もなく、気づいたときには工場長という役職に就いていました。

途中、残業続きで体調を崩したり、同じく弊社に勤務していた兄と仲違いがあったりとさまざまな紆余曲折もありましたが、やはりものづくりがしたい、ものづくりを通じて人間力を高めていきたいという意志は徹頭徹尾変わることがなく、2020年に代表交代のオファーを喜んで引き受けた次第です。

Q

仕事へのこだわり、
新人時代からどういう仕事観を築いてきたのか

人間はある程度のゆとりがないと必ず息詰まってしまいます。しかし弊社はものづくり企業ということもあって平均的に残業時間は長く、なおかつ会社側としても労働基準法に則っている以上はそこまで規制もしていません。ではどのようにしてゆとりを生み出すのかといえば、それはお客様の選び方を根本的に見直すことです。

システムをどんなに改善しようとも、無理難題を言うお客様とばかり付き合っていれば社員は必ず疲弊してしまうからです。よって、急ぎの案件はなるべく引き受けず、長期的で安定したお取引のみを優先してお引き受けするようにしています。実際そうすることで、同じ残業をしていても気持ちにゆとりが生まれ、利益も圧倒的に上がるという成果に繋がっています。

Q

「幸福」や「幸せ」について、社長ご自身のお考えや、
感じることはありますでしょうか?

幸福とは自分が健康で、なおかつ不安のない状態を指すと思っています。では会社での「安心」とはどんなことかといえば、それは良好な人間関係が保たれていることではないでしょうか。だからこそ私は、25名いる社員達と毎日なるべくフラットに何があったか、何を考えているかといった会話を交わしたり、所帯を持つ父としての価値観を共有したりしながら、役職は違えども人間的には対等であることを認識してもらえる関係性の構築に努めています。

また、トップの幸せの定義を皆に押し付けないことも重要です。よって、社員がもし新たな道を弊社以外で見つけたときは、その実現が叶うようなお手伝いをできる会社でいたいと思いますし、そうできることが私にとっての幸福でもあります。

Q

今後の目標について教えてください。

早急に成し遂げたいと思っているのは設計チームの世代交代で、そのためにも雇用確保に注力していかなければならないと思っています。一方、売り上げに関してはこれといって明確な目標はなく、利益がきちんと出て、黒字でさえあればいいという考えです。

同時に、「愛知県で機械に困ったら信濃工業へ相談すればいい」という風に、お客様から第一想起されるようなポジションの企業を目指していきたいと思っています。

Q

最後に、若者へのメッセージをお願いいたします。

なにごとも難しく考えないことです。よく就職に際して「大卒」や「資格の有無」が最重要項目だと捉えている方がいますが、社会人は基本的に毎日朝会社に来て、挨拶ができて、健康であればそれだけでいいのです。そしてもし、入社した会社のことを好きになったら、そこで初めて必要なスキルを習得していけばいいと思います。ただ今は情報過多の時代ですから、自分で情報を選別できる能力だけは今のうちから意識して身につけておいた方がいいかもしれません。

いずれにせよ、皆さんがあれこれと悩むよりも案外、会社の懐は深いものです。細かい部分は入社してから導いてもらえばいいという風に大きく構え、なるべくシンプルな考えを持って今後の就職活動に臨んでいってください。